4 環境保全へ
新しい自然保護の形を提案するエコツアー
飯能市のエコツーリズムは、基本方針の一つとして「自然を保全・再生し、文化を継承して将来に伝える」を掲げています。これまでに、放棄されて乾燥が進んだ谷津田に水辺をつくったり、竹を伐採するなどして、ヤマアカガエルやトウキョウサンショウウオなどの生息地を復元するツアーや、川の上流の湖でブラックバスを駆除し、水域の生物多様性を保全するツアー、化学農薬を使用しない昆虫と共生する庭づくりを学ぶツアーなど、直接的に環境保全に役立つツアーを行っています。
これらのツアーは、従来の自然保護に強い関心を持つ人がボランティア的に実施しているスタイルではなく、エコツアーによって楽しみを付加することで、これまで自然保護活動に参加していなかった人たちが参加するという新しい自然保護の形を提案しているといえます。また、木材の地産地消を学ぶツアーや、川の水生生物を観察し、川の環境について学ぶツアーなど、間接的に環境保全に役立つツアーも実施しています。
全てのツアーで、エコツアー実施者と事務局(市)が、自然の保全や廃棄物の抑制などについて協議を行い、間伐材で作った食器の利用や、使い捨て容器の利用抑制、公共交通機関の利用促進などの環境保全に取り組んでいます。 エコツアーに参加した人が少しでも環境について考えてもらえるようにプログラムの企画段階から配慮し、エコツアーを実施しています。
5 地域活性化へ
里山の生活文化にふれるエコツアー
平成20年度は70のエコツアーを実施しました。これらは全て、市内の住民団体やNPOなどが企画・実施しました。地域住民自らがエコツアーを企画・実施することによって、地域の自然や文化を見つめ直し、来訪者との交流を通じて、地域への誇りと愛着を育むことにつながっています。
また、飯能に移り住んできた人もエコツアーのガイドとして活躍しており、こうした人が新たな視点から飯能の魅力を発掘し、発信しています。
さらに、エコツアーの企画、実施段階でこれまでになかった「世代を越えた交流」、「新住民と旧住民の交流」、「都市住民と地元住民の交流」及び「専門家やNPOと地元住民の交流」などの様々な交流が生まれています。
このようにエコツーリズムは、地域への誇りや様々な交流を生む源となることから、飯能市では、人口減少と高齢化が進む山間地域や、中心市街地の活性化にエコツーリズムを生かしています。
また、産業の振興という面でも、江戸時代から著名な西川材を利用した家づくりを紹介するエコツアーを実施するなど、エコツアーを地域の伝統産業の活性化につなげる試みをしています。
さらに、遊休農地を活用したエコツアーを実施し、農地の有効利用にも役立てています。
6 エコツアーの質の確保
ツアー企画者との下見の様子
エコツーリズムを推進していくためには、多くの方々にエコツアーの実施者として取り組んでいただくことが必要です。しかし、エコツアーが増えてくると、エコツーリズムの目的や考え方から逸脱した単なる見学会や体験ツアーが増えてくる可能性も生じてきます。そこで、エコツアーが基本方針や飯能市の目指すエコツアーとなるように、エコツアーの内容について事前に確認・協議を行う事前協議制度を実施しています。
協議内容は、エコツアーの概要、ルート・タイムスケジュール、募集人数、料金、ガイド・運営スタッフ、安全対策、環境の保全・環境への配慮、地域住民の参加・協力などとなっています。
また、この制度は、飯能市で行われるエコツアーに関する情報の集約による効果的な推進や、エコツアーを企画・実施する方々の意識向上、更にはエコツアーを企画・実施する方々の相談窓口として役立てることも目的としています。
また、エコツアーには事務局が同行し、ツアーのスケジュールや内容、スタッフの対応などについて確認しています。ツアー後に改善点などを記載したモニタリングシートを作成し、参加者のアンケートとともにツアー実施者に送り、次回のエコツアー実施に活用しています。
7 人材の育成
オープンカレッジ(ガイド養成講座)の様子
エコツーリズムの基礎的な知識や、飯能市の自然や歴史文化、ガイドの技術などを学び、エコツーリズムの推進に積極的に関わる市民の育成を目的として、「ふるさと案内人になろう(エコツーリズムオープンカレッジ)」を開催しています。この講座では、エコツアーのガイドを行うための知識や技術を身につけ、飯能市の魅力を自分達の言葉で伝えられるよう、魅力的な伝え方や解説の練習、ツアーの運営などを実習しています。この講座の修了者の多くは地域で実施されるエコツアーのガイド・スタッフとして活躍しています。
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